こんにちは、浜野です。
寿都も日中は気温が高くなり、いよいよ夏が間近に感じられるようになってきました。
春から初夏にかけて、スーパーには新玉ねぎが並びます。
新玉ねぎは通常の玉ねぎより水分が豊富で柔らかく、生でたべるのにぴったり。
しかし、生の玉ねぎは独特の辛味がありますよね。
そこで新玉ねぎの辛み成分を逃がすという作業をするのですが……
今回は化学につながる料理のお話です。
玉ねぎの辛味抜き
玉ねぎの辛味抜きの仕方は
①加熱する
②水(または酢水)にさらす
③塩もみをする
上記の3つが一般的です。
今回ご紹介するのは ③塩もみをする というもの。
これは中学校で学ぶ植物細胞のつくりや高校で教わる「浸透圧」との関わりがとても深いんです。
浸透圧とは?
細胞は「細胞膜」というもので細胞の内側と外側が隔てられています。
中学2年生以上のみなさんは下の図に見覚えがあるかもしれませんね。
今回、「浸透圧」と深くかかわりがあるのは「細胞膜」というものです。
この膜というのは実はシャッターのように何も通さないわけではありません。
リン脂質とタンパク質で構成されており、特定の分子は通れるフィルターのようになっているのです。
こういった膜を「半透膜」と呼びます。
半透膜はおもしろいことに、膜の内側と外側で濃度が違う液体に触れているとき、
内側と外側の濃度が均一になるように分子を通すはたらきがあります。
これを「浸透」いいます。
半透膜で蒸留水と塩化ナトリウム水溶液を仕切っているときのモデル図がこれです。
蒸留水・塩化ナトリウム水溶液の両方にある水色の小さい丸が水分子
塩化ナトリウム水溶液にある茶色い丸が塩化ナトリウムの分子です。
左の図は蒸留水と塩化ナトリウム水溶液の液面の高さが等しいですね。
半透膜は分子が小さい水分子の方を移動させていきます。
すると、右の図のように塩化ナトリウム水溶液の液面が上昇します。
この分子が移動していく力を「浸透圧」と呼び、
液面の高さの差から計算して求めることができるのです。
料理への応用
「塩もみ」というのは薄切りにした食材に塩をもみこみ、その後水洗いをするという手法です。
薄切りした玉ねぎを塩もみすると、
玉ねぎの細胞膜の外側に塩、内側に細胞内の水分という状態になります。
すると細胞内の水分が浸透で細胞の外側へでいていきます。
このとき、水分と一緒に辛み成分も出て行ってくれるんです。
※ちなみにきちんと薄切りにしないと細胞壁が邪魔をしてしまい効果が弱まります……。
この「塩もみ」の手法ですが、実は塩ではなく砂糖でもできちゃいます。
浸透圧の仕組みを理解していると、このようなちょっとした応用ができちゃうんですよ😊
私は高血圧の家系で塩分を控えたいため、今回は塩ではなく砂糖で辛味抜きをしました。
化学を駆使して料理した新玉ねぎ、さわやかでおいしいですね。
トマトやキュウリがあればもっと彩りが良くなりますよ🍅
皆さんもぜひ料理に挑戦して、化学に親しんでみてください。
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